原発推進派懲罰遠征


 
凱旋トークライブ

懲罰遠征3勇士(外山恒一・山本桜子・東野大地)
司会 中川文人

2012年12月29日 東京・高円寺「素人の乱12号店」にて
2013年11月刊行の『デルクイ02』に掲載


 

その1から続く

会場 とりあえず共産党の人が1人落選したという話しでしたが……。

外山 あ、成果?

会場 はい。

外山 成果ねえ。どうだったの? 東野君が調べてなかった?

東野 はい。調べてきました。

外山 さすが。ぼくは誰が落ちたのか受かったのか、全然興味ないのに(笑)。

東野 いや、ほくも大して興味はないんですけど、今日何を喋ったらいいんだろうってことで、話題作りのために一応調べたんです。初日に追っかけた維新の会の松野頼久って人は小選挙区では落ちて、比例復活してます。2日目の大分1区の吉良州司って人は、さっきも云ったように落ちました。

外山 いかにも強そうな候補だったのにね。

東野 比例でも復活してません。

外山 我々の攻撃の成果だ(笑)。結局10分ぐらいしか追い回さなかったけど、きっとそれがトドメに……(笑)。

東野 3日目の、接触事故を起こした福岡2区の鬼木誠……。

外山 さっき見てもらった動画にもバッチリ映ってたように、我々の追尾をかわそうとしたのか何なのかよく分からないけど、急に車線変更しようとして鬼木カーが無関係な車と接触(笑)。

東野 この人は当選してます。4日目は熊本2区の野田毅を追いかけるつもりだったんですが……。

外山 「渡辺喜美にカネもらってんのか」の人ね。

東野 選挙カーを見つけられなくて、ターゲットを熊本1区の、さっきの松野頼久とは別の、自民党の木原稔ってのに変更したんですが、その選挙カーも見当たらず、結局何もできませんでした。ちなみにその木原という人も当選してます。

外山 我々が少しでも追っかけていればなあ(笑)。

東野 5日目にリベンジで熊本2区の野田毅を追いかけました。この人も通ってます。6日目が鹿児島1区の山之内毅、維新の会の31歳ですが、小選挙区では落ちて比例当選です。この日は本来は自民党の保岡興治というのを追っかける予定だったんですが、その保岡って人が小選挙区で当選してます。

外山 そもそもは山之内を追っかけるつもりではなくて、保岡を狙ってた。法務大臣もやったベテラン議員で、しかも弁護士出身だという。これは追っかけなきゃと思ったんだけど、この日は桜子がいなかったんで追尾能力が不充分で、法律的にも手強そうな相手だし、どうせなら万全の態勢の時に追っかけようってことで、急遽もう1人の山之内を追っかけることにした。
 そしたらさっき云ったように2回も警察に駆け込まれて、敵対的な感じになっちゃったんで、これはもう山之内許さん、保岡なんかどうでもいいって(笑)、完全に開き直って山之内を徹底攻撃したわけです。まあ結局日数が足りなくて、後回しってことにした保岡は追っかけられなかったんだけど。

東野 7日目の宮崎1区の武井俊輔は当選です。

外山 これも自民党の人ですね。

東野 8日目が、この日もターゲットを発見できなかったんですが……。

外山 福岡の維新の会の人だっけ?

東野 いや、「この地域は我々が制圧した」とか云って……。

外山 あ、鹿児島3区だ。これは今日集まってるのは主に東京の人だろうからよく分からないと思うんだけど、地方では「何々1区」っていうのがたいてい県庁所在地つまり都市部で、人口の密集してる比較的狭いエリアなんです。だから街を走り回っていれば敵の選挙カーとも比較的遭遇しやすい。だけど九州では福岡を除いては、2区、3区……っていうのはもう、何と云うか、50キロ四方とか、もっと広いかもしれないぐらいの範囲で一つの選挙区になってる。それぐらいの広範囲を4陣営ぐらいの選挙カーが走り回ってる。そんなもん探せるかって話なんですよ。
 で、我々はそもそも原発に反対してこういう活動をやってるんだってことをフト思い出して(笑)、原発立地自治体を含む選挙区にも行っとかなきゃマズいだろうと、川内原発のある鹿児島3区に行った。だけど今云ったように選挙カーなんか発見できないのは最初から明らかで、だってしかも4人か5人が立候補してると云っても追尾対象なのはここでは自民と維新の2人だけだし、ますます発見できるわけないですよ。
 じゃあどうしようってことで、もう「この地域は我々が制圧した」と宣言することにした。広い鹿児島3区の中でも、原発立地自治体である薩摩川内市の区域ね。他のところは知らんが少なくとも薩摩川内市の範囲内は我々反原発ファシストが制圧したんで、今日1日、原発推進派の選挙カーは入ってくんな、もし入ってきたら攻撃して排除する、という宣言をツイッターで出した。でまあ、実際には温泉に入ったりしてたんですけど(笑)。
 ともかく原発現地でも我々は闘ったんだぞというアリバイは作っとく必要があると思ったんだけど、一方で選挙カーなんか発見できるわけないという現実があって、さらにこの日まで桜子がいなくて態勢も不充分で……。どうせ大したことはできないんで、うまいことサボる口実を考えたわけです(笑)。

東野 だけど警察の尾行が……。

外山 そうだそうだ。それまでも鹿児島とかで警察に尾行されたけど、それはすでに選挙カーを追っかけ始めてからだからね。この日は要するに何にもしてないのに、温泉から上がってとりあえず「市内パトロールだ」とか云ってただ走り始めたら、いきなり警察の尾行が2台ついてたの。何ヶ所かどうでもいい交差点で曲がってみたりして確かめたら、ずっとついて来るんで、これはもう尾行に間違いないと。
 東野とは別行動で、東野は東野で別にパトロールしてもらってたんで、この話は映像に残ってないんだけど、しばらく尾行されてるうちに、ふと閃いたのね、悪知恵が(笑)。尾行されつつ、ブルーハーツとかかけながら、地元で一番大きい、川内高校ってとこに警察を誘導したの。で、グラウンドで生徒たちが部活の練習とかしてる周りを走りながら、それまで音楽だけかけてたんだけど、急にマイクを持って、「原発問題を訴えています。そしたら警察に尾行されています。この車の後ろにビッタリついてるのは警察の尾行です。原発問題を訴えてるだけでこんな目に遭う、恐ろしい世の中です」って始めたら、もうすごい勢いで警察は2台とも逃げて行った(笑)。
 あれは痛快だった。それでそれ以降は尾行されるたんびにそれをやった。まあ、毎度毎度そんなにうまいこと逃げてくれないけど、この時だけは一瞬でいなくなった。

中川 警察もやっぱりイヤなんだなあ。

外山 きっと何か後ろめたいことがあるんじゃない?(笑) でも実際こっちは選挙カーを発見できずに無為にうろうろしてる時間も結構長いわけで、そういう時に尾行でもついてくれれば、そうやってネタにして、何かやってる感じにできるんだから、非常に助かるんだ。

中川 警察に追われるってのは、それなりにスゴいことだもんね(笑)。

外山 ターゲットの選挙カーもいないところで、単に「原発問題を争点にしましょう」って街宣してたって、そこらへんの社民(社会民主主義。あくまで資本主義の枠内で福祉的手段などで弊害を是正しようという立場で、資本主義自体の打倒を目指す過激派からは軽蔑される)みたいじゃないですか。こっちはそういうことをやりたいわけじゃないからさ(笑)。もっとドラマチックな感じにしたいわけだから(笑)。だからもう、尾行がついたらこりゃあシメたものだってんで、ことさらに街なかの、できるだけ人が多いところに急いで移動して、「警察に尾行されながら原発問題を訴えています!」って街宣するようにした。

中川 それは尾行はされてるけど逮捕されるようなことじゃないし、願ったり叶ったりだなあ。

外山 何のデメリットもない(笑)。

中川 ただウキウキするだけ(笑)。

外山 川内の最初のそれは撮れてないんだけど、別の日に撮れてるんで、それもちょっと見てもらいましょうか。(0:45あたりから)

中川 尾行されるのが嬉しくてしょうがないって感じだね(笑)。

外山 これは楽しかった。だけど最終日の福岡がねえ……、これが非常に辛かった。
 というのも、最終日はとにかくターゲットを決めないことにしたんだよ。ラストだから派手にやりたいと。福岡市内であれば、1区、2区、3区がそれぞれ都市部にカブってるのね。博多駅周辺は1区で、最大の繁華街の天神が2区、副都心的な西新ってところが3区。だから東西5キロぐらいの都市部をうろうろしてれば、3つの選挙区の合計十数人の候補者がそれぞれ選挙カーを走らせてるはずで、単に自民党と維新の会の候補者だけでも5、6人いるわけだし、その上さらに福岡2区の稲富ってのも民主党内の原発推進派であることが分かってたし、1区の民主党候補は有名な松本龍で、推進派かどうかハッキリしないけど突っ込みどころはあるでしょ。
 さらには我々はファシストなんで、共産党も攻撃できる(笑)。後で云うかもしれないけど、“ラス2”の佐賀3区で攻撃した以外は一応、共産党を攻撃するのは控えてたの。だけど最終日はもう、最後だしやりたいことを徹底的にやろうということで、共産党にも容赦しないことにした。「このインチキ脱原発め、3・11以前はずっと推進派だったくせに、今さら信用できるかコノヤロー」って(笑)。
 で、とにかく朝から晩まで福岡都市圏をウロウロして、そうすればもうヨリドリミドリで次々に推進派の選挙カーに遭遇するに違いないから、見つけ次第に襲いかかる“ファシストの狂犬”路線で有終の美を飾ろうと(笑)。だけどどういうわけか、全然遭遇しないんだよ。維新の奴に2回ほど遭遇したんだけど、追いかけ始めるなり事務所に逃げ帰っちゃうし、追い回してる姿を通行人に見せびらかすってふうに全然ならない。あとは遭遇したのは幸福実現党だけ。
 幸福実現党にだけは何回も遭遇するの(笑)。だけどあいつらを攻撃しても意味ないからさ。こっちまで同じレベルになり下がるだけだし、それに「原発推進派ってのはこういう連中です」って、幸福実現党の存在自体が逆に自動的に推進派へのネガティブ・キャンペーンになってるぐらいなんで(笑)、放置するのが一番いい。
 とにかくほとんど誰も追い回せなくて、それでもせめて警察の尾行でもついてりゃさ、どうにかカッコがつくじゃん。だけど……たぶんバレちゃったんだね。全然尾行してくんないの(笑)。ほんとに最終日は虚しかったよ。ただひたすらさあ、福岡市内を「原発問題を争点に」ってアナウンスして回っただけなんだもん、朝から晩まで、マジメに。

中川 警察にも構ってもらえなかったんだ。

外山 ある種の「かまってちゃん」にすぎないってことが、ついにバレてしまった(笑)。さすが福岡県警、九州の他の田舎警察とはひと味違う。

山本 最終日じゃないんだけど、大分で、先頭に推進派の選挙カーがいて、その後ろにぼくらの軽自動車がいて、その後ろに外山さんの街宣車がいて、最後に警察の尾行が2台ぐらいついてるって状況になってた。だけどそのうち外山さんが引き離されて、ぼくらは推進派を追っかけ続けてるんだけど、それとは別に外山さんがただ警察に尾行されてる状態になって、やがて外山さんから、どうもぼくらに追いつけそうにないから、このまま警察を引き連れて市街地に行く、「尾行されてます」パフォーマンスをやるから、君らも選挙カー追尾を中止してこっちに合流してその様子を撮影してくれって連絡がきた。
 それで市街地に行ってみると、今度は先頭に外山さんの街宣車、その後ろに警察、最後尾にぼくらの軽自動車っていう並びになって、市街地の同じルートをぐるぐる回り始めた。だから何とか、だんだん警察、軽自動車、街宣車って並びに移行させられないかなあって。

中川 意味不明な……(笑)。

外山 ダダイズムだねえ(笑)。

山本 でもそこまでいかないうちに警察が尾行を中止しちゃった。

外山 これ以上尾行しても、こいつら「尾行されてます」パフォーマンスをずっと続けるだけだなって感じで、警察は尾行をやめたみたいなんだけど、でもそのすぐ直後なんだよね、いったん見失ってた敵の選挙カーが突然また現れた。「あれを追え!」って(笑)、軽自動車による尾行を再開して、つまりもう警察の尾行はない状態なの。
 ところがぼくの街宣車が先頭で、警察がついてこないままぼくはちょっと先まで走っちゃってて、警察が尾行をやめてどこかに消えちゃったその後ろに軽自動車がついてて、そこに敵の選挙カーが再び現れたんで軽自動車は今度は警察じゃなくてそっちを追尾し始めるんだけど、ぼくはまたちょっと離れたところからUターンしてそれを追っかけなきゃいけないわけでしょ。これがまたなかなか追いつけなくて。「今ここです」って連絡を受け続けながら、どうも彼らが通った1、2分後をずっとトレースし続けてはいるみたいなんで、「たった今ココを通った何々サンは原発推進派です!」って街宣しながら追っかけたんだけど、追いついたのは結局20時ギリギリで、向こうが街宣を終えてコンビニの駐車場に停まってる周りを最後に「そこに停まってる何々さんは原発推進派です」って云いながら2周ぐらいしたんで、最後の1時間近くずっと何されてたかを相手に悟らせることはできたと思う。
 まあ成功か失敗かは微妙だけど、それでも1時間近く“トレース街宣”はやったわけで、警察としてはそれもさせたくなかったはずではあろうから、尾行中止の判断をした刑事はきっと後で顛末が分かってから大目玉を食らっただろうなと(笑)。そういう意味では大勝利だったのかな。

中川 まあ、逮捕されるのは困るけど、警察にまったく相手にされないのも困るっていう(笑)、そのサジ加減だな。

外山 警察としても放っとくわけにはいかないようなことをやらなきゃいけない。

中川 だけどなかなか捕まえるわけにもいかないっていうギリギリの線を狙う。

外山 ぼくらが追っかけた推進派候補のほとんどは、さっき東野君が報告したように結局落ちなかったというか、そもそも最初からこの程度のことで落とせるとは思ってもいないんだけど、まあ良かったよ。ほんとにぼくらのせいで落ちたりしたら、後で恨まれるからさ(笑)。

東野 人にあんまり嫌われたくない。

外山 みんなに愛されるファシストでありたいよ。

中川 イヤがらせはやるんだけど、その結果として嫌われたくない……面倒な人たちだな(笑)。

会場 だけど可能性は見せてくれましたよね。

外山 うん。マジメな話をすると、それが今回の闘争の本当の獲得目標だから。こういうことをやっても捕まったりしないんだって証明してみせて、次の選挙の時にでも、全国各地の原発反対派が同じようなことをやってくれること。
 ぼくらが単独で1選挙区につき1日ずつ推進派候補を追い回したって、そんなことで選挙結果が左右されたりしませんよ。だけどこれが全国各地で、選挙の1ヶ月ぐらい前から大勢の人によって徹底的におこなわれたら、結果を左右することもできるかもしれない。我々は選挙そのものに否定的ではあるんだけど、何万歩も譲って、こと選挙の話に限ったって、フツーに選挙運動をやることだけが社会変革の手段ではない。フツーに選挙運動をやる以外のやり方、ゲリラ的な、街頭闘争のような手段で選挙に介入することだって可能なんだと、全国のマジメすぎる反原発派の人たちに提示してみせたかった。
 たしかにぼくらは何度も警察に警告されてますし、やっぱりこのやり方は無理なんだと誤解した人も多いとは思うんだけど、ぼくらが警告されたのは、相手の選挙カーを追っかけてるからだからね(笑)。追っかけさえしなければ、つまり原発推進派の選挙カーの動向とは無関係に、ただ街宣して回ることは選挙期間中であっても完全に合法なんです。それは宮崎で公選法違反で警告された時に警察に確認したとおり。
 実際にやってみるまでもなく我々にはそれは最初から分かってたことなんだけど、でもそれじゃ今回みたいに盛り上がらないでしょ。盛り上がらないと注目されないし、注目されないと「こんなやり方があったのか!」と全国の反原発派の人たちにも気づいてもらえない。だからあえて逮捕のリスクを負ってまで、敵の選挙カーを追い回すっていう云わば“余計なアクセント”をつけて、わざわざ面白くすることで注目を集めたの。
 ほんとは単に街宣して回るだけでいいんです。3・11以来の反原発運動でいわゆる“サウンド・デモ”も全国各地で盛んにおこなわれたし、ということは各地にいざとなれば“サウンド・カー”を用意できる態勢はあるわけでしょ。ない地域でも、普通の車の屋根にスピーカーを設置するぐらい10万もあればできますよ。要はヤル気の問題。
 推進派の選挙カーを追っかけたりせず、ただ街宣するだけなら完全に合法だと今回ぼくらが充分以上に証明したんだから、本気で原発を止めたい、原発推進派の議員を1人でも落としたいなら、次の選挙で全国各地で徹底的にやればいい。
 もちろん注意しなければいけない点はいくつかありますよ。例えば「何々サンを落選させましょう」って街宣は、たぶん違法です。「何々サンは原発推進派です、何々党は原発推進派です」って街宣なら、単なる“事実の指摘”であって、選挙とは無関係な単なる政治的な情宣活動と云い張ることができるので、摘発のしようがありません。「何々サンに投票しましょう」とか「何々サンを落選させましょう」とか、選挙と直接に関係するようなフレーズさえ使わなければいいんです。
 繰り返しになりますが、それを分かった上であえて特定の候補者の選挙カーを追い回すなんていう“余計なこと”をしたのは、ただ注目を集めて話題にしてもらうためで、本来は必要ないことです。とりあえずエンタテインメントとして面白くなければ、みなさんも今日わざわざぼくらの話を聞きに集まってくれたりしないでしょ(笑)。

中川 やっぱりどうせやるなら具体的に相手にイヤがられて、「お巡りさん助けて」って云わせたいしね(笑)。

外山 ただ九州の片田舎で選挙期間中に完全に合法的な反原発の街宣をやっても、ぼくら自身も面白くないし、ハタから見てもたぶんあんまり面白くないんで、話題にもならず、結果として「こんなやり方があったのか!」と気づいてももらえない。
 どうも選挙期間中にそういうことをやってはいけないと思い込んでる人が多くて、だけどそんなはずはないし、「そんなはずはない、やれるんだ」ってことを知らしめたかったんです。ぼくら自身はもともと選挙に興味もないし、誰が落ちようが通ろうがどうでもいい。それこそ野田毅がカネくれるって云うんなら今度は渡辺喜美を追い回したっていいぐらいなんだけど(笑)、ぼくらが興味あるのは闘争の“方法”なんだよね。
 どうも一連の反原発運動を見ていると、闘争の方法、スタイルのアイデアが貧困である気がする。もっといろんなやり方があるはずだっていう、その一つを具体的に提示して見せたかったっていうことだな。

中川 それは非常に素晴らしいことだと思います。運動のパターンが決まりきっちゃってるところはあるよね。それはやっぱり法律とか警察とかに対する具体的な経験・研究のないところでみんな発想してるからだよ。

外山 さっきの「ネット選挙は実はとっくに解禁されてる」って話もそうなんだけど、みんな何となく「こういうことはやっちゃいけないことになってる気がする」ってだけの話だったりするんだよね。今回だって事前にいろんな人に「今度こういうことやるつもりなんだ」って話したんですよ。でもみんな、そんなことしたら絶対捕まるからやめとけって云うんだよね。「大丈夫でしょう」って人は1人もいなかった。
 例えば右翼方面の人たちだと、実際ぼくらが今回やったようなことは法的に不可能だったりするのは確かなんですよ。というのは、彼らの多くは選管に政治団体として届け出をしてるから。それは届け出れば街宣車が無税になるからとか聞いてるけど、選管に政治団体として登録しちゃうと選挙期間中に街宣車を走らせることはできなくなるんです。選管に登録さえしてなきゃその公選法の規定は関係なくなるのに、なんか右翼業界の常識みたいな感じで多くの団体が登録しちゃってるから、選挙期間中は実際ほとんどの右翼団体は街宣できない。
 そうすると「選挙期間中の街宣は禁止」っていうのが本末転倒的に右翼シーンで当たり前みたいに思われるようになって、ぼくらが今回みたいなアイデアを口にしても、「そんなこと絶対ムリ、常識だよ」って反応しか返ってこない。あんまりあちこちで絶対ムリって云われるんで、「それはあなたのトコが選管に政治団体登録してるからでしょ?」とぼくは分かってるはずなんだけど、ちょっと自信がなくなってきたぐらいそういう反応ばっかりだった。

中川 とにかく警告されるまでは思いついたことを何だってやっちゃえばいいんですよ。警告ナシにいきなり逮捕されるのは中核派だけですから(笑)。あるいは麹町署だけだから。麹町署は、逮捕する時に何の罪状だか云いもしないからね。弁護士が接見に行って、やっと何の容疑で逮捕したか教えてくれる。しかも実際に起訴する時はそれとも違う罪状になってるの(笑)。だけどそういうのは麹町署とか、ごく一部でしか許されないことだから。普通の警察では、ちゃんとビデオとか撮って、証拠を集めて、「これは何々の罪に問えるな」ってことをしっかり検討して、まず警告。

外山 とりあえず何か思いついたら麹町署の管内以外でやれと(笑)。
 今回ぼくらは反原発運動の新しい戦術を提起したつもりだし、実際に全国のココロナイ反原発派の人たちからたくさんの応援メッセージをいただいたりしたんですが、なにも原発問題に限らずやれることだよね、今回のは。
 左翼界隈には元々ぼくを嫌ってる人もたくさんいて、そういう人が呟いてたんだと思うけど、意外と鋭いこと云ってる人がいた。彼だか彼女だかは「今回の外山の行動を無邪気に賞賛すべきではない」と云うんだ。今回は外山がたまたま反原発を掲げてるから素晴らしいと感じるのも分かるけど、この戦術は原発以外の運動にもいくらでも応用できるぞ、と。もし在特会みたいなのが今回の外山の行動にヒントを得て、選挙期間中に民主党や社民党や共産党の選挙カーを追い回して「コイツは国賊だ、チョーセンの手先だ」とかやりだしたらどうすんだ(笑)、外山も実はそのことに気づいてるはずだとか云ってて、なかなか鋭いなと思ったんです。そこまではっきり意識してたわけじゃないけど、何にでも応用できるよな、在特会みたいなのにマネされたらイヤだな、ぐらいには確かに薄々考えてはいたんで(笑)。
 もちろんぼくとしてはそんなことはどうでもいいんです、はっきり云って。すべてがどうでもいいというニヒリズムの過激派なんで、在特会が今回のぼくらの手法を「悪用」してヒドい運動を展開してくれたって究極的にはどうでもいい。いやむしろそうなることを望んですらいますよ。反原発派も、在特会も、ナントカ派もカントカ派も、あらゆる政治勢力が議会外で大暴れして、議会政治などというくだらないものを徹底的に撹乱してほしい。どんな思想信条を持った奴でも、選挙期間中に、立候補もしてないくせに、それぞれの立場でガンガンやればいいと思ってます。
 今日も「維新政党・新風」という恐ろしい極右政党の人が来てくれてますが(笑)、新風なんて全国に支部があって、それぞれ街宣車も持ってるわけでしょ。過去に何回も国政選にうって出てるけど、どうせ通りゃしないんだからさ(笑)。むしろ普通の意味での選挙は諦めて、各地の国賊政治家どもを選挙のたびに街宣車で徹底的にディスって回ればいいじゃん。将来的にはまた選挙に出るにしても、そういう形でまずは存在感を示す戦略だってありうるわけだよ。
 とにかくそうやって、右でも左でもいいから、選挙に出てもいない人たちが選挙を口実に騒ぎをまき散らすって状況が生まれた方が絶対面白いって。選挙に期待したって、どうせ今回、反原発を掲げる未来の党だの社民党だのをいくら応援したってさ、通りゃしないんだから(笑)。
 しかも仮に今回立候補してた反原発派、共産党はどうせ通らないとして、民主党と社民党と未来の党の候補者のうち明確に反原発を掲げてる人が全員通ったとしても百人もいなくて、衆議院五百人の中じゃ圧倒的に少数派でしょ。そんなもん最初から完全に負けてるじゃん。フツーに選挙に期待したって、そもそもまったくダメだってことは開票を待つまでもなく分かりきってた。

中川 そうなんですよ。単に立候補者の数の問題に限っても、純粋に政権与党になれる可能性を持ってるのは自民党と共産党だけなんです。ここがまず第一に議会制民主主義の茶番なんです。他の政党がいくら「政権を取ったらこういうことを実現します」って云ったって、そもそも数として単独では政権与党にはなれないんだから。
 だから自民党と共産党以外の、そういう公約めいたものは全部ウソなんだってことをみなさん理解しなきゃダメですよ。まあ今回は民主党も全員通れば過半数を制するだけの候補者を出してるかもしれませんけどね、少なくとも社民党や維新の会や維新の会や未来の党はそうじゃないんですから。そこは間違えちゃいけない。

外山 あるいは今回の都知事選で、心ある人たちは宇都宮健児サンを一所懸命、応援してたみたいですけどね。ぼくだってまあ、宇都宮サンってのはなかなか立派な人みたいだなとは思いますよ。だけど通るわけないでしょ、そんなもん。
 ぼくが都知事選に出た時も、心ない人たちはぼくを応援してくれましたが、心ある人たちは元宮城県知事の浅野ナントカって奴を応援してましたよね。あの時ですら石原が通るに決まってる、浅野なんか通るわけないってことは最初から分かってたじゃないですか。浅野ですら通らないのに、宇都宮健児サンが通るなんて尚更ムリだって、誰にでも分かりますよ。なんでそういう愚劣な期待を繰り返すのか。
 当選させたい人をどうせ当選させられないんなら、もう選挙に期待することはやめて、せめて何かスカッとすることを考えて実行すればいいじゃないですか。山本夜羽音なんか典型的だけど、普段はフザケたこと云ってるサブカルっぽい人たちも、なぜか選挙になると急にマジメになっちゃうんだ。

中川 嫌われたくなくなっちゃうんだよね。これまで内ゲバとかやって散々嫌われてきた人たちまでそうなっちゃう。しかし今回の外山さんたちのように、だからといって選挙に出ずにただ茶化して回るってのも邪道じゃないかと思う人もいると思うんだけど、どうですか?

会場 今回の「懲罰遠征」の最大の目的は何なのかってことが、やっぱりまだよく分からないんですよ。例えば原発再稼動みたいなことを本気で止めたいのか、それとも運動の新しい形を提示することが最大の目的なのか、あるいはファシスト党の宣伝が目的なのか、どうもよく分からない。それからやっぱり過激なので、普通の市民運動を穏やかにやりたい人たちからは反感を買うだろうし、そういう人たちは、むしろ反原発派はこういう過激な連中だと却ってネガキャンになってしまうじゃないかと批判してくると思うんですが、それに対してはどう考えてるんでしょうか。

外山 まず前提として、ぼくは原発反対であるし、一刻も早く原発を止めたいと思っていることは確かなんですけど、今回の選挙に関してはさっきから云うように最初から反原発派は負けると分かりきってるわけですよ。今回の選挙で反原発の結論なんか最初から出るわけがない。だから仮にマジメに原発全廃を目指すにしても、そんな選挙に期待してあれこれやるより、いずれ政権を取って必ず原発を全廃する我々ファシスト党の宣伝になることをやった方がいいに決まってるんです。
 さらに、ぼくらの運動は確かに過激ではあるんですが、単に過激なだけではなくて、「穏やかにやりたい」という人たちすらつい笑ってしまうような、エンタテインメントになってると思うんです。そうでないとぼくら自身も楽しめないし。
 ぼくらはそもそも選挙に何の期待もしてないわけだし、世間が選挙がどうこう騒いでるのを単に無視して他にやるべきことをやればいいんですが、せっかく何か思いついて、それが「この人たち、我々はファシストだとか恐ろしいこと云ってるけど、案外いいんじゃない?」(笑)みたいな反応を期待できるようなものであれば、それをやらない手はありませんよ。選挙などという元々バカバカしい制度を、そういうふうに利用できるんなら利用するに越したことはない。我々にとって選挙なんてしょせんその程度のものにすぎません。

中川 一九四五年にアメリカに制圧されて以来、民主主義がすべてなんだと御指導されて、何事も選挙で決着をつけなければいけないと、みんな刷り込まれてるわけです。それが60年安保闘争や全共闘運動で、選挙だけで決着をつけちゃいかんと云って闘ったはずなんだけど、とくにこの10年ぐらいは、それでもやっぱり選挙で決めるしかないんじゃないかという風潮が強まって、それに異議を唱える人が必要なんですよ。
 政治学の普通の話としてよく云われるのが、一番いいのは偉い王様による統治で、次にいいのは優秀な貴族の人たちによる統治、3番目、4番目といろいろあって、民主主義というのは6番目にいい制度でしかないと。たいして良くもないけど極端な間違いは起きにくい、ぐらいのメリットしかない。
 とくに「3・11」以降、そんな民主主義でいいんだろうかと薄々思ってる人はいっぱいいるとぼくは思うんだけど、そういう疑問はなかなか形にならない。今回みたいな、民主主義とか選挙を相対化するような実践の試みは必要なんですよ。

外山 今回ぼくらがやったようなことは、はっきり云って何ら実効性はないんです。吉良州司ぐらいしか落選させられてない(笑)。でもそれはぼくらが3人だけで、車1台だけでやったからであって、全国の反原発派がこれをもっと大々的にやればだいぶ違いますよ。けっこう大変なことになると思う。「やろうと思えばこれぐらいのことはやれるのに、なんでやらないの?」っていう問題提起ではあるんだ。原発に反対してる人たちが、みんなマジメであるがゆえのことだろうけど、選挙になると急に既成の選挙運動のイメージに縛られて、それに則っちゃうんだよね。これまで革新勢力がさんざんやり尽くしたような無意味な戦術に囲い込まれていっちゃう。
 ぼくらは今回、たぶん逮捕されるだろうと思いつつ、まあそれも実際やってみなきゃ分かんないし、例えば「警察がこういうふうに云ってきたらこうしよう」とか、事前には全然考えてなかったんです。最初からそういう緻密な想定をしちゃうと逆にそれに縛られちゃって臨機応変な対応ができなくなるんで、むしろ何も考えずにやってしまえと。ヤバい展開になったらその場で何か対策をヒネり出して、ほとんど取り繕うような感じで進行させようと。結果的には逮捕もされず、何とかやりきったわけだけれど。
 とにかく何か思いついたらやってみることですよ。法的に完全にアウトなら別だけど、微妙な感じだったらとりあえずやってみた方がいい。

中川 それに今回のは、仮に捕まったとしても懲役2年とか3年とか、そんなことには絶対ならないから(笑)。一口に逮捕と云っても、そこらへんのリアリズムを分かっておかないとね。起訴されるまで23日間閉じ込められるかもしれないけど、公判前整理をやって、「これこれをやったことは事実で、それについては争いません」とか「この点は争います」とか、チャチャッとやれば起訴の翌日には保釈されるんだから。保釈金はかかるにしても、まあその程度のことなんですよ。

外山 保釈を考えなくたって、裁判そのものが逮捕されてから2、3ヶ月で終わりますよ。この程度のケースなら間違いなく執行猶予がつくし、それで出られる。

中川 とくに前科のない人なら今回以上のことをやっても実刑にはなりません。政治運動をやる人は、そういうリアリズムを身につけなきゃいけない。

山本 今回は捕まるとしたらまず街宣車に乗ってる外山だろうから(笑)、その段階でぼくらは引いて救援に回る予定だったんですが、もしそうなったら一つやりたいことがあったんです。坂本龍一とかオノ・ヨーコとか、反原発を云ってる、あるいは云ってそうな“大物”アーティストに、「今回の外山以上の水準で反原発パフォーマンスをやってくれ、ムリなら我々にカンパせよ」って要求するつもりだった(笑)。

外山 実は東野は我がファシスト党専属の芸術理論家なんです。で、「外山は今回の行動もあくまで政治運動だ、革命運動だとか云ってますが、そんなものはポーズにすぎません(笑)。カッコつけて云ってるだけで、本当は前衛芸術運動です。その外山の“反原発アート”よりも面白い、あるいは芸術的に優れた“反原発アート”をもしやれるんなら是非やってください。外山もそれを望んでいます。もしやれないなら救援カンパも含め、外山の前衛芸術運動に絶大な資金提供をお願いします」というような趣旨のことを、もっともらしく東野に書いてもらって、反体制ぶってるカネ持ってそうな“アーティスト”のみなさんに送りつけようと。
 もちろん断ってきた奴の名前は全部公開するの(笑)。「ほほー、外山より面白いことやってくれるんですね、お手並み拝見」っていう、そういう悪質なことをやろうとしてた(笑)。

中川 今回も(二〇一二年の)夏ぐらいまでは良かったのにね。官邸前の大集会とか。なのに選挙が始まると全部そっちに回収されちゃうんだよな。

外山 このかん原発問題ではシングル・イシューということがしきりに云われてきたじゃないですか。だけどシングル・イシューについての考え方がまったく間違ってる。「原発反対」以外の主張は掲げないでください、というシングル・イシューでは運動はダメになるんです。「憲法を守れ」でも「自主憲法制定」でも、日の丸でも赤旗でも黒旗でも団体旗でも、「世界革命」でも「嫌韓嫌中」でも、「原発反対」なら他に一緒に何を掲げてもいい、もちろん現場で多少ケンカしてもいいというシングル・イシューでなければ、運動にダイナミズムが生まれません。

会場 事後逮捕の可能性はまだあるんでしょうか?

外山 うーん、可能性はゼロではないけど、難しいと思う。さっきも云ったように、やっぱり複数の県にまたがってることが最大のネックなんじゃないかな。
 例えば宮崎県警がこれを立件したら、じゃあ他の県でも同じことやったのに何で立件しないのかってことになっちゃうから、やるなら足並み揃えなきゃいけないでしょ。かなり大がかりなことになって、予算も人員も相当のものになる。有罪にできるかどうかも分かんない上に、有罪にできたとしても「犯罪」の中身自体がショボいんで(笑)そもそも重刑なんか科しようがない。足並み揃えるといってもやっぱりどこかの県警が中心にならなきゃいけないだろうけど、「じゃあウチが」とはどこも云いたがらないと思うよ。

中川 追っかけられた候補者たちにも全員、事情聴取しなきゃいけないけど、彼らもむしろこんなことを立件されるのはイヤがるでしょう。

外山 裁判で、「だってあなた原発推進派なんでしょ?」って当然こっちは訊くことになるからなあ(笑)。

中川 そんなの絶対イヤだよ(笑)、ヤブヘビだ。

外山 やっぱりだんだん逮捕してほしくなってきた(笑)。まあもともと今回は仮に逮捕されてもそんなに真剣に裁判闘争を展開する気はなかったんだけどね。原発反対は本気だけど、今回の行動そのものは愉快犯的なものでしかないし、選挙なんてバカバカしいものに付き合ってあんまり長く拘束されるのも不本意なんで、「すいません、もうしません」と謝って、さっさと裁判を終わらせて最大3ヶ月で出てくるつもりだった。ツイッターでも書いたけど、愉快犯らしく「ムシャクシャしていた、相手は誰でもよかった」って供述しようと思ってたんだ(笑)。

会場 だいたい候補者のことをろくに調べずにやったんでしょ?

外山 「誤爆上等」とか云ってた(笑)。

中川 悪知恵は働くんだが計画性がない(笑)。

外山 誰も支持してないから、誰が通ろうが落ちようがどうでもいい。佐賀3区なんかさ、玄海原発があるから一応行ったんだけど、自民党と共産党しか出てないんだ。まあそういうところに原発は建てられちゃうわけだけど。で、そこで自民党を攻撃したら共産党を利することになっちゃうでしょ。過激派のモラルとして、共産党を利することだけは絶対やっちゃいけないってのがあるから、「両方落としましょう」って街宣した(笑)。「投票に行ってはいけません、投票率ゼロ%、自民党ゼロ票、共産党ゼロ票で、当選者ゼロをめざしましょう」って。アドリブでやってるうちにフト出た「佐賀3区に国会議員はいりません!」ってフレーズは我ながら秀逸だった(笑)。

会場 それは公選法違反の選挙妨害にはならないんですか?

外山 どうなんだろう。面白すぎて、ついやっちゃったんだけど(笑)。でも「投票率ダウン・キャンペーン」というのはファシスト転向前の一九九九年にも一度、福岡県知事選でぼくは大々的にやってて、その時は警察も「お願いだからやめてください」って云うだけで(笑)特に何もなかったよ。

会場 特定の候補を落選させようというのはダメなんです。「全員落としましょう」なら引っかからない。それに「とにかく投票に行きましょう」キャンペーンはみんなやってるんだから、その逆はいけないということもありえない。

外山 あまり深く考えてなかったけど、なるほど(笑)。まあ、選挙カーを追い回すのはともかく、「選挙反対」とかワケわかんない街宣まで取り締まりゃしないだろうとは思ってた。

中川 そんなの取り締まってたら税金の無駄遣いだ(笑)。

会場 他の時は言葉の使い方に気をつけてましたよね?

外山 うん。「何々サンを落としましょう」みたいなことは絶対云わなかった。「原発問題を争点にしましょう」と云うだけで、「推進派を落としましょう」とは云わない。「何々サンは原発推進派です」とは云うけど、「だから落としましょう」とは云わない。
 とくに投票日はいっそう気をつけて、余計なこと云っちゃわないように、アドリブを入れずに事前に決めたフレーズだけ延々繰り返した。投票日には候補者たちはもう選挙カーを出せないし、それどころか一切の選挙運動ができないんだけど、こっちは候補者じゃないから何の関係もない(笑)。一日じゅう、「誰が原発推進派なのか教えて回る運動を展開中です。自民党と維新の会の候補者は全員、原発推進派です。“何か”の(笑)参考にしてください」と街宣してまわった。これも次の選挙で全国の反原発派はやればいいですよ。

会場 投票日に投票所に行って、貼り出されてるポスターとか選挙公報を見て誰に投票するか決めるという人は案外いますよ。

外山 だよね。だから投票日に、一日中あちこちの投票所を巡回しながら街宣すればいい。今説明したように、云い方さえ気をつければ、これは完全に合法です。

会場 あと、「私は原発反対派なので何々サンに投票します」とか、逆に「推進派なので何々サンに投票します」と街宣して回るのも、その党の運動員とかでなければ公選法には引っかかりませんよ。個人の意見表明、立場表明にすぎないから。

外山 お、さすが極右政党(笑)。その手もあるね。ネガティブ・キャンペーンとしてそれをやることも可能なわけだ。「私たち原発推進派は自民党に投票します!」って過剰にやる。「命や健康より大事なものがあるんです!」とか、わざと反感を買うようなことばっかり云って。いわゆるホメ殺しだ。自民党の選挙カーと遭遇したら、「自民党のみなさーん、原発推進、頑張ってください!」って(笑)。

会場 警察に尾行された時に、「つきまとい」だって抗議しなかったんですか?(笑)

外山 そりゃまあ冗談としては云ってみましたよ。彼らは冗談にもマジレスしてくるから、「これは公務だからいいんです」とか云ってましたけど。

会場 交番に駆け込めばよかったですね(笑)。

外山 そうか、こっちが候補者にされたことを全部、警察に向けてやればよかったんだ。「誰からカネもらってんだ!」とか(笑)。

中川 えー、そろそろ予定の時間ですので、報告会はここでいったん終了して、この後さらにこの場で引き続き、交流会とします。3勇士のみなさんに盛大な拍手を!

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